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 ある日の午後。 園子は京極のアパートに遊びに来ていた。

 勝手知ったるなんとかで、上機嫌にお茶を入れる園子の耳に、京極の呟きが届いた。

「可愛いな」

 園子はえ!? と振り向いた。

 京極はテレビを見ていた。 明らかに園子に向けられた言葉ではない。

 画面に映るのは、最近人気の若手女優。 ふわふわしたロングのゆるいウェーブの髪と笑顔が印象的だ。

 世の中には自分より美人な人はいくらだっている。 ましてや女優とくらべるなんて、おこがましい。

 それに自分だって好きなアイドルや、かっこいいなと思う人はたくさんいる。

 わかっている。 わかっているのだけれど。

 園子の眉間にしわがよる。 口元もとんがらかる。

 何より、京極がほかの女性を褒めるのを初めて聞いた。 それがひっかかる。

 そういえば、モテる人だと蘭が言っていた。

 そうだと思う。 かっこいいし、優しいし。 同じ学校にいれば園子だって憧れたはずだ。

 過去のことは聞くのが怖いけど、この際彼の好みを知っておくのもいいかも知れない。

 用意したお茶を持って、園子は京極の隣にすとんと腰を下ろす。

「あ、スミマセン」

 笑顔でお茶を受け取る京極に、何気ない風を装って園子は探りを入れてみた。

「どういうところが好みなの?」

 ん? と京極は茶をすすり、テレビをちらりと見て、ああ、と頷いた。

「そうですね、ふわふわしたところとか」

 む。

「ほっそりした輪郭とか手足とか」

 むむ。

「優しくて黒い瞳がいいですね」

 むむむ。

「・・・園子さん?」

 一応笑顔のつもりだけど、眉間のしわが増えていく。

 心配そうに覗き込む京極の顔がまっすぐ見られない。

 横に並んだ京極の腕を知らず、ぎゅっと両手で抱きしめていた。

 だって、わたしにないものばかり挙げていくから。

 ひとつ言われるたびに気持ちがへこんだ。

 誰にも渡したくなくて、すがった腕は今はまだ自分だけのもの。

「・・・真さんて、モテるんだよね」

 脈絡のない言葉に京極はとまどった。

「蘭が言ってた。 蹴撃の貴公子だもんね、当然だよね」

 京極は答えない。

「バレンタインとか、いっぱいチョコもらったんでしょ」

 ・・・う。

「それも結構本命で告られたりしなかった?」

 うう。

「留学先にも女の子はいっぱいいたよね。 誘われたりしなかった?」

 ううう。

 言葉につまる京極に畳み掛けるような攻撃は止まらない。

 言葉に出さなくとも、落ち着きない京極の様子からそれはすべて的を射ていることが、 園子にはわかった。

「ふわふわウェーブの美人だって、その中にはいたわよね?」

 言いながら、追い詰められるのは自分自身。 園子は無性に悲しくなって、思わず瞳に涙が盛り上がった。

 その眼をきっ、と京極に向けて、がばっと京極に抱きついた。

 首筋に噛みつく。 今度は無性に腹がたったのだ。

 誰にも渡したくなんかない。 どうして違うって言ってくれないの?

 わたしのものだという証明をどこかに刻みたかった。

「園子さんっ」

 驚きながらも、京極が園子の背を優しく叩く。

「どうしたんです」

「わたしの前でほかの女の人を褒めないでよ」

 それが手の届かないスターであろうとも。

「わたしにないものばかり好きにならないで」

「ええ?」

「言ってくれたら、わたしだって髪のばすのに」

 ぐすぐすと鼻をすすりながら八つ当たり。

「ええと」

 次第に状況が飲みこめて来たのか、京極が頭をかく。

「でも、犬のことですよ?」

「え」

 思わず園子が飛びのいて、京極を見つめた。 涙で赤くなった鼻をすする。

「あ、これですよ」

 テレビから犬の声。 大きなコリー犬だった。 女優が飼っているらしい。

 ふわふわの体毛。 身体の割に細くて小さな顔と手足。 つぶらな瞳。

「女の子かどうかはちょっとわかりませんけどね」

 こらえきれない笑いといじわるな言葉に、園子はかーっと赤面した。

「私が園子さん以外をみる訳ないでしょう」

「そ・・・そんなのわかんないもん」

 照れ隠しに精一杯の反抗をする。 しかしそれは頼りない。

「バレンタインデーにも、私が受け取ったのは園子さんのチョコだけです」

「・・・・・・」

「髪が長くても短くても、園子さんならどちらでも似合うでしょうね」

「そ・・・そう」

 恥ずかしさで顔があげられない。

「けど、役得でしたね」

 首筋をさすりながら京極は悦に入る。

「たまには妬いてもらうのもいいかもしれません」

 衝撃で園子が顔をあげる。 その顔からは湯気が出そうだ。

「やだもう! 心臓に悪いから絶対やめてー!」

 園子が叫ぶと、京極が声をあげて笑った。









20050217up

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