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空気が澄んで冴えきった冬の夕暮れ。
 白い息を吐きながら、あの人を待つ。
 防寒装備はバッチリで、寒さなど全然感じない。
 大学の門柱にもたれて、迎えを待つ幸せを噛み締める。
 約束の時間までまだ少しある。
 それなのに夕焼けを背中にしょって、見覚えのあるシルエットが近づいてきた。

「真さーんっ」

 嬉しくなって手を振った。
 彼はわたしに気がついて、右手をあげて応えながら足早に近付いてきた。

「待たせてしまいましたか?」
「ううん、ぜーんぜん。わたしもさっき来たトコだから!」

彼を見上げてそう言うと、彼は少し微笑みながら右手でわたしの頬に触れた。
 ひやりとした感触。

「嘘つきですね。 こんなに冷え切ってるじゃないですか」

 見透かされている。 だけど、そんなに待ったわけではない。
 たまたまサークルが早く終わったから、10分程度余分に待っただけで。
 防寒できない顔の温度だけは風にすぐ奪われてしまったのだろう。

「時間まで室内で待っていてくれて良かったのに」
「・・・そんなに大した時間じゃないもの。
 顔は冷たいけど、全然寒くないのよ。 ホラね」

 両手にはめた手袋を彼の眼前に突き出した。
 そして、両手から二つとも外してコートのポケットにしまいこんで、
 先ほどわたしの頬に触れた彼の右手を両手で包み込む。

「真さんの方が冷たいよ」

 手袋のおかげでわたしの手は温かい。 その熱をぎゅっと握った手に伝える。
 真さんの大きな手は指先まで冷たくて、なかなか全部が温もらない。
 本当は手袋を貸してあげたいところだけど、わたしの手袋では小さすぎるから。

「・・・温かいですね」
「でしょ?」

 されるがままになってくれている真さんの顔はほんのりと赤みがさしているように思える。

「真さんは手袋持ってないの?」
「持ってないんです」
「どうして? あると全然違うよ? あったかいし」
「あまり必要を感じないので思いつきもしなかっただけですが、こうして」

 そこで真さんはわたしににっこりと微笑んで。

「園子さんが熱を分けてくれるんだから、買う必要はないでしょう?」

 顔がかーっと熱くなり、急に心臓が踊りだす。
 ・・・やられた。やられてしまいました。
 心の準備が出来ていない時に、不意にもたらされる真さんの言葉にわたしはいつも翻弄される。
 顔が赤面して、焦ってしまって、それこそ寒さなんか感じないほどに熱が急上昇する感じ。
 なんだか身のおきどころがないくらいに上がってしまって、えへへ、と曖昧に笑ってごまかした。
 握っていた真さんの手がわたしのとおんなじくらいの温かさを取り戻しているのに気付いて、わたしの手から真さんを解放する。

「えと・・・、そろそろ行こっか?」

 照れてしまって真さんの顔をまともに見ることが出来ないまま、わたしは移動を促した。
 真さんを残したまま歩き出そうとするわたしの右手を背後から真さんが捕まえた。

「園子さん」

 ぎゅっとわたしの手を握り締めながら、真さんがわたしの横に並ぶ。 その左手はひやりと冷たい。

「こっちの手がまだなんですが」

 白い息を吐きながら真さんが言う。
 その白々しい台詞にわたしはつい吹き出してしまった。

「・・・うん。 歩きながらでいいよね?」
「勿論です」

 温もった手はポケットに入れて。

 真さんの左手とわたしの右手はあらためてつなぎなおされて。

 互いを温めあいながら、二人で冬の街を歩き出そう。

 どんなにあったまっても今度のこの手は離さない。

 つないだ手は心をほかほかにしてくれるものだから。


 二人でいれば、手袋なんて、必要ないよね。





20050127up。

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